【街で出会った優しい人】夫の人柄の良さは知り合う前から知っていた。

街で出会った私達夫婦。通るたびに思い出す出会い

私達夫婦が暮らす最寄り駅周辺は、市街地再開発事業や駅ビルの建設で駅前広場は完成していたものの、駅の裏手の道路は細く舗装もされていませんでした。そんな再開発事業も今では完成間近、私達の結婚生活も駅前開発が順調に進むように幸せを育んでいます。私は駅周辺を目にしては、私達の夫婦の出会いを一人笑みながら思い返しています。

私が就職をした23歳当時は、バスの発着がある駅前はスッカリ整備されていましたが、近隣に住む住人は駅の裏手から駅の改札や反対側に向かう不便な生活をしていました。

道路はデコボコで杭が打たれ鉄のワイヤーが張り巡らされていました。そこを朝の通勤通学時は、会社員や小学校に向かう子供達が足早に人の波をかいくぐるように歩いていたのです。会社に就職をしたばかりの私も就職活動中から慣れないスーツとパンプスでデコボコ道を通って駅の改札に向かっていました。歩き慣れない靴でデコボコ道を歩いていると元気な子供達が、駆け足で楽しそうに人にぶつかりながら学校へ向かっていました。

そんな子供達の一人がデコボコ道で転び、それを一人の男性が「危ないよ。大丈夫だった、怪我してないか?」と、お越し膝の泥をはたく光景を目にしました。この男性が後に私の主人となる予期せぬ運命の人だったのです。

今時こんな人いるんだ…知らない子供に優しい好青年

スーツ姿でしたので通勤途中で、近隣に住む男性でしょう。子供を抱き起こし、怪我をしていないか心配をして、「気を付けて学校へ行きなさい。」と諭す男性に清々しさを感じました。年齢は25.6歳、爽やかな雰囲気の男性に周辺を歩く人も好感を覚えたと感じる光景でした。

そんなことがあってから、毎朝、彼を見付けるようになりました。彼はいつもすれ違う人たちに注意を払いながらデコボコ道を歩き、優しい人柄が見ず知らずの私にもに伝わってきたのです。ある日私の横を、小学生の女の子が駆け抜けて行きました。私の前方には彼の姿があって、私も彼の後ろ姿に気を取られていたのです。

その瞬間に女の子が転び、声を上げて泣き始めたました。私はその子を起こし、彼がしていたように女の子の膝に付いた泥を落としました。「怪我してないよ。良かったね。」と女の子の頭を撫でました。前方を歩いていた彼が振り返り、その様子を見て私に軽く会釈をしてくれました。それでもまだこの時はそれだけで、言葉を交わすまでには数週間掛かったのです。

知り合いじゃないけど知っている人、お茶のお誘いから付き合いが始まりました

駅の改札でいつも見失う彼をホームで目にしました。一つ違うドアの前に並び電車を待ちました。朝のラッシュ時、電車の中に押し込まれるように乗り込むと、あの彼が目の前に立っていたのです。お互いに知らない人ですが、人柄は伝わってたように思います。

電車が揺れる度に私が揺らぐのを支えてくれていたようにも思えました。その度に「すみません」と声を掛ける私に「混んでますね。大丈夫ですか。」と気を遣ってくれていたのです。終点で電車を降りて会釈をして別れ、翌朝、いつものデコボコ道で顔を合わせ言葉を交わすようになりました。

駅へ向かう数分言葉を交わすようになり、会社帰りの駅でバッタリ彼に会いました。頭を掻きながら「そこのスタンドでお茶しませんか。」と誘われ私達は付き合うようになりました。何気ない光景の中で垣間見た彼の人柄に惹かれ、付き合いを始め、お決まりのデートにプロポーズですが、私は幸せはどこに転がっているか分からないものだと感心しています。

結婚をして8年の歳月が経ち、私達には子供2人の家族も増えました。主人は相変わらず「いい人」で、私の優しい良き理解者です。人の幸せは特別なものではなく、何気ない日常の中にあるのだと主人に感謝しています。